■公立陶生病院 循環器内科の特徴■

陶生病院長内先生 病院としての役割は、地域の患者さんをサポートすることですが、循環器内科においては主に急性期治療の役割を担っています。
 当診療科では、心不全、虚血性心疾患、不整脈という3つの大きな疾患を扱っていますが、私自身は不整脈の専門医として日々診療に携わっています。

 

■ホルター心電図検査の重要性と実施状況■

 不整脈専門医として、心電図検査は欠かせない検査です。12誘導心電図も実施しておりますがホルター心電図検査となりますと、やはり12誘導心電図検査のような数十秒の検査では見つけられない脈の異常を見つけること、つまり普段は問題ないけれども、長時間の検査では異常が出ているといった不整脈の検出を目的として実施しています。ホルター心電図検査で見つけるべき疾患として、心房細動は重要な対象疾患です。
 ホルター心電図検査を実施する対象患者さんは、動悸などの症状がある方はもちろん、無症候性の方も対象になることが多くあります。患者さんの中にはスマートウォッチで心房細動のアラートを受けて受診に来た方もいらっしゃいます。そういった方には、パッチ型心電計を使用した一週間のホルター心電図検査を行っています。また健康診断で脈の不整が見つかり受診に来た方にも、発作の頻度などを調べることを目的にホルター心電図検査を実施していますが、やはり発作頻度という観点では、24時間よりも一週間のホルター心電図検査を実施する方が好ましいと考えています。
 当診療科における一週間のホルター心電図検査の実施頻度は、以前は月に10例ほどでしたが、最近は徐々に増えておりその倍くらいになると予想しています。その背景には、やはりSmartRobinの導入によってもたらされた効果があると思います。

■SmartRobin®導入のきっかけと導入後の変化■

 SmartRobinの導入は、従来の医療機器と比べるとハードルが低かったと感じています。SmartRobinはクラウドで提供されるサービスのため解析機器の購入が不要で、検査毎に解析を発注する形ですので、初期費用の面で導入がスムーズでした。
 SmartRobin導入以前は24時間のホルター心電図検査がメインで、当時は臨床検査技師の方に機器を取り外した当日に無理を言って1時間ほどで解析を行っていただき、私が診察するといったフローを組んでいました。しかし、マンパワー的に厳しい部分がありました。ホルター心電図検査を実施するとなりますと、まず①機器の取り付け、②機器の取り外し、③結果を聞きに来るという3回の来院が必要となります。そこを当院では2回で完結できるようにしていましたが、そうすると技師さんが他の検査を実施できなくなるといった問題点も出てきていました。SmartRobin導入後は、データ管理部門でレポートを電子カルテに取り込んでいただいた後は、私の方で直接解析結果を確認しにいくというフローに変わり、業務効率の改善に繋がっていると感じています。
 また当診療科では、検査を実施して結果を患者さんにお返しするまで約3週間を予定しておりますが、SmartRobinは一週間の心電図データでも十数分で自動解析が終了しますので、再診までに患者さんの次の治療方針を検討する時間を十分に確保することができています。また、検査精度が上がったことも変化のポイントで、SmartRobinが心房細動の代表波形を抽出して示してくれるので、要点を絞って波形を確認することが可能になっています。このように、診断にかかる時間の短縮・節約といった面で大きく変わったと思います。

 

■SmartRobin®の役立つ機能■

陶生病院長内先生 SmartRobinの機能面では、やはり結果のアウトラインを簡便なレポートで確認できることが一番大きいです。レポートはPDFで出力されますので、電子カルテに取り込みやすいところも良い点だと思います。また、レポートには心房細動だけでなく、期外収縮の回数やポーズ(RR間隔が2秒以上)などの情報も記載されています。当診療科では、患者さんからの要望があればレポートを印刷してお渡しすることもありますし、波形画面が従来の解析画面よりも見やすいので、画面をお見せしながら説明することもあります。ビートサークルといった心房細動や期外収縮の有無を直観的に確認できる機能もあり、心房細動検出の根拠を深める機能の一つとして特に開業医や非専門医の方には役立つのではないかと思います。

■SmartRobin®の活用シーンと今後の期待■

陶生病院長内先生 やはりSmartRobinは、心房細動の検出に好ましいツールだと思います。先程申し上げたような、スマートウォッチなどのウェアラブルデバイスで心房細動が疑われた方へのホルター心電図解析に適していると考えます。また、心房細動アブレーション後のフォローで、従来は24時間のホルター心電計を使用していましたが、Heartnoteを使用するようになってから、1日目では心房細動が検出されなかったけれども、その後の数日間で検出されたケースが多くあります。なので、アブレーション後のフォローとしてHeartnoteによる検査とSmartRobinによる解析をルーチンで行うという活用が良いのではと考えています。
 不整脈専門医としては、心房細動の検出やアブレーション後のフォローにSmartRobinを活用いただきたいという点はもちろんですが、やはり検出精度の高さと初期費用の点を踏まえると、是非開業医の先生方にお使いいただきたいと思います。クリニックでホルター心電図検査を実施して心房細動が検出された場合、そこで専門医へ紹介するといった病診連携ツールとして役立てていただけるのではないかと考えています。


ビートサークル

10秒間のRR間隔を多角形で表示したもの。不整脈(心房細動、期外収縮など)が含まれる可能性を直観的に表現する。